Interval
バタン、と大きな音を立てて扉が閉まる。
ぽたぽたと体から落ちた雫が、水溜まりを形成していく。
「さてと」
私は2人の間にある不自然な距離を埋めるべく言葉を紡ぐ。
「まずは体を拭かないと…はい」
洗面所に綺麗に積まれたタオルを二枚取り、一枚を先程から返事一つもよこさぬ男に投げ渡す。
いや、正確には『投げる』だった。男が微塵も動かなかった為、タオルは ぽす、と小さな衝撃音と共に男の左肩にぶつかり、落下した。
私は溜息をついてタオルを拾い、男の前に差し出す。だが、また反応がなかった。私はもう一度大きく溜息をつき、空気を吸った。
「クリスティ…」
「言うな!」
体が強張る。男はこちらを向いていた。
男の顔には怒ってもなお、力強い美しさが見られた。
焼け爛れたように歪んだ右側でさえも。
「その名を…言わないでくれ」
瞳に宿った怒りの色が悲しみの色に戻り、男はまた項垂れるように視線を床へやった。
「クリスティーヌはラウルを選んだのね」
言い終わるとほぼ同時に私の体は意思と反してベッドに沈んだ。
首には力の篭った手が添えられていた。
「…………てる……」
抵抗もせず、私は声とは言えない声を発した。
言葉を聞くつもりなのか、手の力が緩んだ。
「…かはっ……あいっ…してる」
男の目が見開き、手は完全に離された。
まだ酸素の回りきらない身体をゆっくり起こし、男の首に腕を回し、抱きしめると、密着した身体からは震えが伝わる。
どうやら男は泣いているらしい。
私はそっと、まるで子供をあやすかのように、右側の頬にキスした。
そして、耳元で囁く。
「『私』を抱いて…ファントム」
男…ファントムは言葉に誘われたままに私を再び押し倒した。
その瞳には確かに『私』が映っている。
いや、そうであって欲しいと願った。
涙が 落ちた。
あとがき
初のファントム夢です!
むしろちゃんと夢小説を書くのは初めてなので
広い心で見てやってください(土下座
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